今年のミス・ユニバース世界大会も 大盛況で幕を閉じ、クラウンは1953年以来フランス代表に渡った。  今年で第65回を迎えたミス・ユニバース世界大会は、超満員となったSM Moaアリーナで開催され、歯学を専攻するフランス代表のIris Mittenaereさんが夢にまで見たクラウンを手にし、日本代表の中沢沙理さんはトップ13入りを逃した。  オーナーが現在のWME/IMGに変わってから2年目を迎えたミス・ユニバース。世界大会の結果から私たちは何を学ぶことができたか?

それは大きく分けて3つある。

1、ウォーキングと外面の美への評価が下がる

スリムではなくても入賞できる証拠、ミス・カナダ Sierra Bearchellさん。

ベネズエラ代表がトップ13入りを逃したことから分かるように、完成されたボディ、欠点の全く見つからないステージ上での立ち居振る舞い、最高のキャットウォーク、作り込んだメイクは今日のミス・ユニバースではそれほど重要視されてはいない。  ミス・ユニバース・ジャパンは今でも、出場者がウォーキングレッスンとメイクを習う“ビューティーキャンプ”に力を入れ強調しているが、完全に廃止はしなくともその期間は短縮される必要がある 。 より多くの時間は一時的ではなく、長続きし世界的にインパクトを与える自分自身のストーリーを伝える時間に費やされるべきである。 例を一つ挙げたい。ミス・カナダのSierra Bearchellさんは以前ミス・スプラナショナル・カナダ代表として活躍。今大会、彼女は決して日本人好みのスリムな体型ではなかったが、トップ9に入賞。ミス・ユニバース・カナダ大会期間中、Sierraさんは試験のために猛勉強。ほとんどの活動やビューティーキャンプを欠席。ミス・ユニバースについて何の知識もない人々やスポンサーによるビューティーキャンプやセミナーは、ミスコンのために準備をする女性たちにとって単なる時間の無駄であると言えるだろう。

「ミス・ユニバースについて何の知識もない人々やスポンサーによるビューティーキャンプやセミナーは、ミスコンのために準備をする女性たちにとって単なる時間の無駄であると言えるだろう。」

2、話題性

今年のミス・ユニバースでは、興味深いストーリーを持つ女性たちがトップ13入りを果たした。  いくつか例を挙げると、ミス・ペルーは大会前に事故に遭遇し左半身が麻痺。数週間後、回復しミス・ユニバースのトレーニングに参加することができた。  ミス・ケニアは両親のいない孤児として生まれた。周りの人に支えられ成長し、ケニアでモデルとして成功を収めている。  ミスUSAはアメリカ陸軍の現役の軍人として活躍し、家系も軍人出身である。  ミス・タイは清掃員として働く母を助けながら成長し、幼少時代は特に金銭的に苦しい生活を強いられた。  昨年、宮本エリアナさんがミス・ユニバース・ジャパンに選出された時も同じように世界で話題となり、トップ10入賞を果たしたラスベガスでもずっと注目を集めた。  このように、ミス・ユニバースは整った顔立ちやゴージャスな衣装以上のものを求め、義務や下心によるチャリティー活動ではなく、真実に基づく人生経験を求め、それらを高く評価する傾向が見られる。

3、自国サポートの重要性

今ではSNSの需要と影響力が高まり、ファンのお気に入りの女性が代表に選ばれなかった時に、運営側がひどく非難されることは仕方がない。 世界最強のベネズエラでMariam Habachさんがミス・ユニバース・ベネズエラ代表に選ばれた時には、相当な数の非難が集まった。  選ばれなかった他のファイナリストたちは、ウィナーのアナウンス後すぐにステージを後にし、そのうちの何名かは大会を出来レースだと非難した。そのようなネガティブな反応がMariamさんの準備にも影響し、自国からの応援といった精神的なサポートを十分に得られなかった。  一方、日本では沙理さんに対し2ちゃんねるや他のサイトに、連日ファンやオタクからネガティブなコメントが多く寄せられた。  もちろん、彼女に対しての非難は度が過ぎていたが 、特に ミス・ユニバースのような威厳のあるミスコンで国の代表を選ぶ時には、世間の反応を考慮に入れることも必要だ。

Miss Universe 2016 candidates pose during the 65th Miss Universe red carpet. PHOTO: Bong Tan/Missosology
Miss Universe 2016 candidates pose during the 65th Miss Universe red carpet. PHOTO: Bong Tan/Missosology

「ミス・ユニバースのような威厳のあるミスコンで国の代表を選ぶ時には、世間の反応を考慮に入れることも必要だ。」

今年、ミス・ユニバース・ジャパンは日本大会ファイナルの日程を遂に7月4日に変更、水着や軽装に適した良い時期を選んだ。この大会から世界大会を意識した代表選出に、大きくシフトチェンジすることを期待したい。  まず、ミス・ユニバース・ジャパンも先日の世界大会のように、知識があり、適切なウィナーを選ぶ経験を持つ有能な審査員を招待しなければならない。  また、日本大会ファイナルは一般の人々が買え、感謝できるチケット価格でなければならない。なぜなら ミス・ユニバースは“エリート”のためのタイトルではないからだ。“Miss Universe”と呼ばれているのは、全世界に(universal)アピールすることができるからである。  そして、世界大会の表裏、ソーシャルメディアの傾向やミスコンの基本的な心理を知る有能なトレーナーやコーチを雇うことも大切である。

沙理さんはミス・ユニバース世界大会でベストを尽くし、多くのフィリピン人の心を掴んだ。彼女は決して準備を怠ることもなかったが、公にまでその良さが届かなかった部分もあるのかもしれない。  最後に、公にインパクトを与えられなかった沙理さん。興味深いことに、沙理さんも世界一に輝いたIrisさんも歯学生である。しかし、2人の将来の歯科医の中でより大きなインパクトを与えたミスは、クリスタルのようにはっきりとしている。オカダマニラ(日本人のビジネスマン岡田和生さんにより運営)がスポンサーに入り、森理世さんが事前審査を担当したにも関わらず、インパクトの弱さから沙理さんは入賞することができなかった。

宮本エリアナさん-2015年Missosologyのナンバーワンピック-2011年にイネス・リグロンから新しいオーナーにミス・ユニバースの権利が渡ってから、今のところ 世界大会でトップ10に入賞したのは彼女だけである。  彼女が、2015ミス・ユニバース長崎代表に輝いた直後から我々の目は彼女に向けられ、その後我々はがっかりすることもなかった。 可愛いらしい顔立ちだが、AKB48や他の可愛いタレントより弱い女性ではなく、エリアナさんのようなミス・ユニバース・ジャパンの誕生を願いたい。 今、自信に溢れた美を持ち、十分に準備され、話題性のある完璧な女性を発掘する時である。

muj2015final
2015ミス・ユニバース・ジャパン、ファイナル・ホットピック: No.1となった宮本エリアナさん

NO COMMENTS